◆東アジァ(中日)生涯学習研究 フォ―ラム杭州  
 2023・東北大学・石井山研究室、東京・沖縄・東アジア社会教育研究会(TOAFAEC)  
   *関連 
2010年以降ー東アジア・フォーラム開催 アルバム→■      TOAFAEC新版
       日本・東アジア研究交流委員会(2020年~)記録→■   
 ◆東アジァ(中日)生涯学習研究 フォ―ラムin名護→■ 

2024年

 

今年の東アジア生涯学習研究フォーラムについてー日程変更  『TOAFAEC通信』第97号(11.14)
 昨年の名護における東アジア生涯学習研究フォーラムは、好評のうちに終わりまし
た。
 今年は11月16・17日に中国浙江省杭州市で行われる予定でしたが、その後日程が
12月21・22日に変更になりました。テーマは「終身教育研究と実践をめぐる新たな
展開と挑戦」ということで、発表者は未定ですが、日程草案は決まりました。責任者
の石井山さんが主催・中国側との交渉を引き続き行っております。
 参加に当たっては、登壇者や通訳体制など、決めねばならないことは多くあり、ま
た渡航準備など、参加メンバーは忙しくなっております。
 詳しいことがわかり次第、また通信でお知らせいたしますので、もうしばらくお待
ちください。(山口)

★東アジア生涯学習研究フォーラムin杭州 まもなく開催 『TOAFAEC通信』第100号(12.18)   
 ……フォーラム事務局 December 16, 2024 2:05 PM
 今年は中国杭州市において、12月21・22日に行われることは既報のとおりです。
進行中に多数の調整があり遅くなりましたが、最終的な会議日程および報告内容が添
付※)のように完成いたしましたので、ご覧ください。参加メンバーは、19日や20
日に出発いたしますが、資料の翻訳など作成中で、間もなくの開催に向けて慌ただし
く過ごしております。
 終了後の23日には杭州から上海に移動し、以下のようなことが考えられておりま
す。
 10:30-11:30 「日本の社会教育」に関する講演
        講演者:石井山竜平(東北大学)
        会 場:職業教育と成人教育研究所(職成所)
 14:00-16:00 華東師範大学の老年大学を訪問。現在の校長は黄晨先生。
 16:30-17:30 上海生涯教育研究院を訪問。
       上田さんと石井山さんに海外研究員証書を授与。
 17:30頃  上海生涯教育研究院院長・李家成教授招待による夕食会
 中国の皆さま方、よろしくお願いいたします。

●中日韓生涯教育シンポジウム 日程(12月20日~22日)
 (日時 内容および発表者 会場・司会者)
 12月20日 参加者到着受付 匯豊ビル

12月21日 午前 開会式 三階 汇通庁
司会者: 汪国新 (中国教育発 展戦略学会生涯学習専門委員会副理事長)
8:45-9:30 杭州市銭塘区教育局指導者 挨拶
・中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会理事長 韓民 挨拶
・浙江省教育庁または杭州市教育局指導者 挨拶
・特別基調講演:国際生涯学習の発展動向 楊進
 (中国ユネスコ常駐前大使級代表、ユネスコ生涯学習 研究所理事、華東師範大学客員教授)
12月21日 午前 第一セッション:生涯教育研究の新たな進展(三階 汇彩庁)
  司会者: 吴暁川 (中国教育発 展戦略学会生 涯学習専門委員会副理事長)
9:30-10:10 日本の生涯学習政策のこれまでとこれから 石井山竜平(日本東北大学准教授)
10:10-10:50 生涯学習研究への提案された概念:学習管理装置 姜大仲(韓国ソウル大学教授)
10:50-11:30 中国(本土)における生涯教育(学習)の研究概要
  韓民(中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会理事長)
  国卉男(上海教育科学研究所副研究員)
11:30-12:10 台湾生涯学習研究の趨勢と展望 張德永(台湾師範大学教授)
  林彩媚(台湾師範大学博士課程) 12:10-12:30 質疑応答・討論 12:30-14:00 昼食 レストラン

12月21日 午後 第二セッション:生涯教育施設の変化と直面する課題 三階 汇彩庁
  司会者: 新保敦子 (日本早稲田 大学教授)
14:00-14:40 韓国における生涯教育伝達システムの進化と課題:公共分 野を例に
   郭有美(韓国光州人材生涯教育振興院)
14:40-15:20 ESDを柱とした岡山市の公民館活動の到達と課題 内田光俊(西大寺公民館長)
15:20-16:00 台湾の地域教育施設の発展と再考:竹塹社区大学を例に 林宗儒(台湾竹塹社区大学校長) 16:00-16:40 中国(本土)における生涯教育施設の概要と展望
  呉遵民(華東師範大学教授、中国教育発展戦略学会生涯学 習専門委員会学術委員会主任)
  馬麗華(華東師範大学副研究員)
16:40-17:20 質疑応答・討論 18:00 夕食 レストラン
21:00-22:00 フォーラム後の活動プログラムに関する討議(担当者1~2名参加)

12月22日 午前 第三セッション:生涯教育従事者の発展状況と動向
9:00-9:40 中国における生涯教育従事者の現状と上海の試み
  黄健(華東師範大学教授、中国教育発展戦略学会生涯学習 専門委員会副理事長)
  李娟(上海開放大学副研究員)
9:40-10:20 三階 匯彩庁 司会者: 日本の社会教育主事制度改革~汎用性と専門性をめぐっ て
  上田孝典(日本筑波大学准教授)
10:20-11:00 韓国における生涯教育従事者の育成、職業ルートと課題
  趙淳玉(韓国仁済大学教授) 梁炳赞 (韓国公州大学 教授、韓国生涯 教育学会会長)
11:00-12:00 質疑応答・討論 12:00-13:00 昼食

12月22日午後 第四セッション:地域教育施設の訪問および会議のまとめ レストラン
13:30-15:30 杭州市銭塘区地域教育施設の訪問
16:00-17:30 会議のまとめ(各自10分間) 末本誠(日本神戸大学名誉教授)
   崔一先(韓国慶熙大学教授) 張德永(台湾師範大学教授)
   楊樹雨(中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会事務局 長)
   銭塘区 白楊街道 隣里社区
18:00-19:30 夕食 会議終了 レストラン
備考: 1. 基調講演の発表時間は40分以内(通訳時間を含む、2カ国語の通訳は同時進行)
 2. 第1~第3セッションの司会者および会議のまとめ発言者は、基調講演を行わない専 門家が担当。
 3. 到着受付、宿泊および会議会場:杭州市銭塘区下沙学源街118号 浙江金融職業学院内 匯豊ビル
   連絡先:浙江金融職業学院 朱大歓18958092206 杭州市銭塘区教育局 陳素芳13136166113 4.
   送迎:杭州蕭山空港の出口にて専任者が対応。
23日のスケジュール案:
午前:
杭州から上海へ移動
10:30-11:30
石井山先生に職業教育と成人教育研究所(職成所)で「日本の社会教育」に関するご講演をお願いしたいと思います。
(その間、他の先生方はキャンパス内を散策したり、ホテルで休憩したりすることができます。)


日中韓生涯教育シンポジウム報告  『TOAFAEC通信』第102号(12.29)  

日本、中国、韓国等の研究者30余人が相集っての今年の中国杭州でのフォーラムも無
事終えることができました。開催国・中国の皆様のご尽力に深く感謝するものです。
 今回のフォーラムは、2010年から数えて7回目(コロナ禍でのオンライン開催を含めれ
ば8回目)となります。初めて同時通訳が実現し、第3セッションの金さんが書かれたよ
うに、報告時間もその後の質疑応答の時間も十分取れることになりました。情報共用に
大きな力になったのではないでしょうか。
 最後の石井山さんの報告の中に「フォーラム・ラストの楊先生の素晴らしいプレゼン
!」とありますのは、中国メディア大学楊樹雨教授の3つにまとめられたというご感想の
ことです。その項目だけを揚げますと、
1 中日韓生涯教育シンポジウムはすでに三カ国が交互に開催する健全な発展メカニズム
  を形成している。
2 老中青3世代で構成される安定した中核チームを形成
3 交流の成果が徐々に現れ、未来の発展はますます明るくなる見通しである。
 これを、三か国語で書かれ、写真も交えて大スクリーンに映し、通訳なしで表情豊かに
述べられました。私も今回参加して、世代間でのつながりと参加国間の交流の深まりを強
く感じておりましたので、楊先生のまとめに共感し、思わず涙が出そうになりました。
                          TOAFAEC事務局・山口真理子
 ========================================================

12月21日午前 開会式

司会:汪国新 (中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会副理事長)
挨拶:杭州市銭塘区教育局指導者
   中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会理事長  韓民
   浙江省教育庁または杭州市教育局指導者

特別基調講演:国際社会における生涯学習の発展動向
 講演者:楊進教授 (中国教育部、中国ユネスコ常駐前大使級代表、
       ユネスコ生涯学習研究所理事、華東師範大学客員教授)
 記 録:祁暁航
 特別基調講演において、楊進教授は国際社会における生涯学習の発展動向について、六
つの視点から体系的な論述を展開した。まず第一に、生涯にわたる学習理念の浸透につい
て詳細な考察がなされた。とりわけ、孔子の「吾十有五而志于学」から始まる段階的な学
習観や、プラトンによる6歳からの体系的な教育構想など、古代思想家たちの教育思想を
丹念に紐解きながら、「ゆりかごから墓場まで」という学習理念が数千年の歴史を持つこと
が示された。
 第二の視点として論じられた万人の生涯学習権の保障については、教育を基本的人権と
して明確に位置づけ、国連SDGs2030における包摂的で公平な質の高い教育の確保につい
て、具体的な政策展開の可能性が示された。特に、教育が貧困の撲滅や不平等の解消に果
たす役割について、世界各地の実践例を交えながら説得力のある議論が展開された。
 第三の視点では、学習者中心の理念の提唱について、学習動機、内容、プロセス、環境
など多面的な観点からの考察が示された。続く第四の論点では、多様な学習成果の認定シ
ステムについて詳述され、特に2012年にUNESCOが発表した非正規・インフォーマル学
習の認定に関するガイドラインの意義について、解説がなされた。
 第五の視点として取り上げられた学習都市・コミュニティの構築については、現在
UNESCO学習都市が356都市に達している現状が報告され、「一つの村全体で子どもを育
てる」というアフリカの諺を引用しながら、コミュニティ全体で学習を支える重要性が強
調された。
 最も注目を集めた第六の視点では、Blaschke(2012)、Ekoto and Gaikwad(2015)、
McKeown(2011)らの研究を基に、教育理論の連続体(Pedagogy-Andragogy-Heutagogy
Continuum)について詳細な解説がなされた。この理論的枠組みは、従来の教育学から成
人教育学、そして自主学習理論へと発展する学習理論の進化を示すものである。具体的に
は、学習の「控制的中心」が教師主導から学習者の自己決定へと移行し、「認知水平」が単
なる知識の獲得から、メタ認知を経て認識論的な能力の開発へと深化していく過程が示さ
れた。
 さらに、「教師の作用」が従来の教授者から促進者へ、そして学習者の才能開発者へと変
容していく過程や、「学習の焦点」が教科中心のカリキュラムから、課題・問題中心のアプ
ローチを経て、学習者が主体的に学習環境を形成していく段階へと発展することが論じら
れた。特に注目すべきは、「学習の動因」が試験や進級のためという外発的動機から、必要
性の認識を経て、新しい状況における学習可能性の追求という非線形的な学習へと進化し
ていく点である。
 この理論的枠組みは、学習者の経験の価値づけにおいても明確な進展を示している。教
育学段階では軽視されがちな学習者の経験が、成人教育学では「重要」となり、自主学習
理論では「非常に重要」と位置づけられる変化は、現代の生涯学習社会における学習者主
体の理念を端的に表すものとして、参加者の強い関心を集めた。
 本講演の意義として特筆すべきは、「学習社会は学習者の社会である」という基本的視座
を提示し、学習型社会の構築においてボトムアップアプローチの重要性を強調した点であ
る。また、講演の締めくくりとして提起された「一国の市民形成と生涯学習システムの在
り方」という問題提起は、今後の生涯学習政策の本質的な課題を浮き彫りにするもので
あった。
 このように、理論と実践の両面から生涯学習の発展動向を詳細に論じた本講演は、今後
の研究方向性を示唆する意義深い報告であった。しかしながら、時間的制約によりフロア
との討議が十分に行えなかった点は、今後の課題として残された。特に、デジタル時代に
おける新たな学習形態の可能性や、各国における具体的な実践事例についての詳細な意見
交換が望まれる。(文責:祁暁航)

開会式での全員。同じ日に開催の全国社区教育研修会は特別基調講演まで合同だった。
========================================================

12月21日午前 第一セッション:生涯教育研究の新たな進展
 司会者:吴暁川 (中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会副理事長)
 講演者:日本の生涯学習政策のこれまでとこれから
      石井山竜平(日本東北大学准教授)
     生涯学習研究への提案された概念:学習管理装置
      姜大仲(韓国ソウル大学教授)
     中国(本土)における生涯教育(学習)の研究概要
      韓民(中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会理事長)
      国卉男(上海教育科学研究所副研究員)
     台湾生涯学習研究の趨勢と展望
      張德永(台湾師範大学教授)
      林彩媚(台湾師範大学博士課程)
     質疑応答・討論
 記 録:上野景三
 特別基調講演に続いて、第1セッションは、「生涯教育研究の新たな進展」をテーマに各
国から報告が行われた。いずれの報告もそれぞれの国での研究の進展を総括しようと試み
られたもので、聞きごたえのある報告であった。
 最初の報告は、日本である。石井山報告は、日本の30年間の「生涯学習」政策を振り
返ったものである。1987年の臨教審答申、文部省生涯学習局設置による政策の展開、そし
て30年経過後、文部科学省の局名から「生涯学習」の名前が消失するまでの過程を、関係
者の証言によって再構成しようとしたものであった。証言からは、これまで触れられるこ
とのなかった文教行政内部の政策立案者たちの期待が述べられている。それに対して、社
会教育研究の立場からの批判的な指摘も掲載されている。これらの30年間の動向につい
て、「見えてきたこと」として3点にわたって整理された。
 次の姜報告は、ユネスコの『私たちの未来をともに再想像する:教育のための新たな社
会契約』(2021)に依拠しながら「教育が人生とどのように結びつくかを理解すること」と
の問題提起を行い、「教育と生活のかみあい」の重要性を主張した。その上で、「学習管理
装置」という仮説的な概念を提起した。「学習管理装置」とは、生涯学習理論化のためのミ
クロ的なアプローチであり、「文脈知識の流通を通じて学習者を(再)生産する」装置のこ
とである。個人や集団が学習を管理するためには具体的な装置が必要であり、学習管理と
は異なり、非可視的な概念であると仮定した。これまでのformal、nonformal、informal
の議論を越えて学習者の想像を生み出し、学習者自身を条件化させていくためには必要な
装置であるとした。
 3番目は中国からの報告である。韓民報告は、中国における生涯教育・学習の基本的枠
組みと研究が成立してきた経過、及び研究領域、国際的な学習都市クラスターについての
紹介がなされた。続いて国報告では、中国における研究の計量分析が紹介され、生涯教育
研究のキーワードが抽出された。最後に、中国の生涯教育研究のホットトピックとして8
点にわたって整理された。
 最後は、台湾からの報告である。まず張報告では、台湾の生涯学習の発展過程と政策の
実施状況、生涯学習法の特色について報告がなされた。続けて林報告では、台湾における
高齢者教育政策の概要と社区大学の発展の特徴について説明された。その上で、生涯学習
の展望と生涯学習の専門化発展に関する検討がなされた。
 それぞれに重要な報告であったが、時間がなく討議の時間がとれなかったことは残念で
あった。(上野 景三)

   フォーラム会場
========================================================

12月21日午後 第二セッション:生涯教育施設の変化と直面する課題

 司会者: 新保敦子 (日本早稲田 大学教授)
 報告者:韓国における生涯教育伝達システムの進化と課題:公共分野を例に
      郭有美(韓国光州人材生涯教育振興院)
     ESDを柱とした岡山市の公民館活動の到達と課題  
      内田光俊(西大寺公民館長)
     台湾の地域教育施設の発展と再考:竹塹社区大学を例に
      林宗儒(台湾竹塹社区大学校長)
     中国(本土)における生涯教育施設の概要と展望
      呉遵民(華東師範大学教授、
            中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会学術委員会主任)
      馬麗華(華東師範大学副研究員)
     質疑応答・討論
 記 録:新保敦子 
 このセッションでは、韓国、日本、台湾、中国の順番で4つの報告が行われた。
 第1報告は、「韓国平生教育伝達体系の進化と課題 公共領域を中心に」である。平生教
育法、第5次平成教育振興基本計画、また国家平生教育振興院や地方自治体(広域/基礎)に
おける平生教育機関についての説明があった。報告を受けての質疑応答においては、平生
教育の体系についての質問、あるいは財政的にどのようになっているのかという質問がで
ていた。全体として、平生教育について、体系的なシステムが構築されていることに刺激
を受ける内容であった。
 第2報告は、「ESD を柱とした岡山市の公民館活動の到達と課題」であった。ESDを中
心に据えた岡山市の公民館活動について、具体的な報告が写真を交えて行われた。また、
各公民館に、1名の専門職員が配置されていることなども興味を持って聞いてもらえた。
内田報告に対する中国、韓国、台湾の研究者の興味関心は高いものがあった。それだけ日
本の公民館は優れた制度であると認められていると思われる。そのため質問の中で、公民
館は、なぜ近年、減少の方向に向かっているのかという疑問が中国の研究者から出されて
いた。また、職員の養成・採用と公民館といった社会教育施設への配置についても、質問
がでていた。
 第3報告は、「台湾の地域教育施設の発展と再考:竹塹社区大学を例に」であった。台
湾・新竹市の旧港島における竹塹社区大学の取り組みによる紹介である。同地域は、少子
高齢化が深刻な地域である。若い世代は村を離れているが、社区大学の努力によって、2
年間で180以上のイベントが実施され、島が活性化されていることが報告された。日本
においても離島の少子高齢化は問題が深刻であり、教育による地域振興の事例として、台
湾の事例は大変に興味深い事例であった。
 第4報告は、「中国(本土)における生涯教育施設の概要と展望」であった。生涯教育施設
設置の概況、課題、展望について、報告がなされた。居住区ステーションー社区学校―社
区学院という段階別に生涯学習の体制が構築されていること、また、社区教育の他に、職
業学院、高齢者大学(国家開放大学)が生涯教育を担っていることが報告された。課題と
しては、①都市と農村間の教育資源の格差、②農村からの移住労働者、高齢者、障がい者
などの社会的弱者層への教育ニーズが十分に注目されていないこと、③複数の部門が生涯
教育に関与しているが、効率的な協力体制が欠如していること、④新たに設立された「国
家老年大学」が、今後、どのような機能を果たすべきかが、指摘されていた。
 全体として、各国の生涯教育の推進体制や実践に相互に学ぶ貴重な機会となり、また議
論も活発に展開された(司会、まとめ:新保敦子)。

  新保さんと呉さん

========================================================

12月22日 午前 第三セッション:生涯教育従事者の発展状況と動向 
 司会者:梁炳赞 (韓国公州大学 教授、韓国生涯 教育学会会長) 
 講演者:中国における生涯教育従事者の現状と上海の試み
       黄健(華東師範大学教授、
                中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会副理事長)
       李娟(上海開放大学副研究員)
      日本の社会教育主事制度改革~汎用性と専門性をめぐって 
       上田孝典(日本筑波大学准教授)
      韓国における生涯教育従事者の育成、職業ルートと課題
       趙淳玉(韓国仁済大学教授)
      質疑応答・討論
 記 録:内田光俊、金亨善
 中国の報告では、まず生涯教育職員の範疇として、亭子※)を原型とした中国式の学習
社会ビジョンの中で、主に社区(高齢者)教育の従事者であることが提示され、市、区、
街道、社区の各レベルに置かれる教育機関に、専任講師、兼任講師、ボランティアがチー
ムを組んで事業に取り組んでいることが示された。その配置状況は、国レベルでは2018年
時点で大部分の市区の社会教育機関で10人、5人以下が42%、市区街道レべルの社会教育
施設の1/3が兼務等の待遇であることも語られた。上海市では、2023年の職員数は
61,686人とされるが、その大部分はボランティアであり、専任職員は1,866人、兼任は
5,477人であり、専任・兼任職員の人口比は職員一人当り339千人あまりであり、少数に
とどまっているという。職員の発展のために、上海市や成都市、蘇州市などが独自に条例
を制定し、法的保障の努力をしている。しかし、社区教育教師への社会的な認知はまだ高
くなく、流動性も高く、十分な訓練を受けられておらず、地域の均衡も取れていない。社
区教育教師の職位制度が未確立で、そのための教育制度もないことから、社区教育のニー
ズに適応しきれていないという。そのような中で、上海市では教師資格管理の規範化をめ
ざして専門能力ガイドラインを発布し、その能力要件を整理して提示している。そのため
の研修体系も整備し、職称承認制度も構築した。今後へ向けては、法制度の保障強化で講
師資格を明確化しアイデンティティの向上を図り、有能者の参加を促進して、専門化発展
システムを構築することが目指されるという。
 日本の上田氏の報告は、事情からオンラインで報告された。社会教育士の呼称が導入さ
れた社会教育主事制度の変化を報告し、文科省が示しているその専門能力の内容と、社会
教育主事講習の柔軟な開講形態が模索されることでの質保証の課題や、人材養成の出口戦
略欠如の問題が語られ、社会教育の公共性から専門職としての力量形成とキャリア形成を
どう構想するかの課題が提示された。
 韓国の報告は、平生教育振興の軸として平生教育士があり、その定義や発展の経過がま
ず語られた。その養成と配置の実態としては、3級から1級の平生教育士制度のもとでの
養成課程と昇級課程の構成と特に2級、1級の平生教育士養成課程の内容について説明さ
れた。2023年には約6,400人を養成。これまで養成された総数は1級1,031人、2級
154,694人、3級7,914人で総計163,639人とのこと。平生教育法で平生教育機関には平
生教育士の配置の義務が規定されているものの、配置率は86.5%にとどまっている。自治
法改正で平生教育が自治体の事務と規定されはしたが、平生教育士の多くは公務員身分を
持たないので、平生教育専門公務員の新設が課題となっていることも提示された。この間
の平生教育士についての研究の多くはその専門力量に関するもので、そうした研究成果を
活かして平生教育士の資格体系の改変、養成課程の強化、配置の拡大、研修の体系化の課
題が提示された。
 国ごとに社会教育専門職員の制度や配置の実態は異なるものの、制度改善を通して現実
の社会教育の現場での実践が豊かになるための検討や研究が重ねられており、こうした学
び合いの意味が大きいことがよく理解できる。韓国や中国のこのことにかける熱意のよう
なものは、日本のそれを凌駕しているようにも感じられ、いっそう日本での専門職による
実践の成果が求められると感じた。 (内田光俊)
 ※)元の意味は「東屋」。学習型社会のビジョンが東屋に見立てて書かれている(真)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 第一報告は中国からの「生涯教育従事者の現状と上海の試み」における報告で、上海の
事例を通してみた社区教育の職員体制と実践の様子が共有された。上海市だけでなく、中
国内の自治体レベルにおける条例を根拠として社区教育の体系づくりの努力が見られてい
る。一方で、社区教育を担当する専門職の養成及び職務に関する制度的措置はまだ不十分
であることが課題としてあげられた。
 第二報告は、日本から社会教育の専門職における制度的変容とその意義及び課題におけ
る話題提供が行われた。報告者の上田孝典氏は、オンライン報告ではあったが、日本の社
会教育主事制度における歴史と近年の社会教育士の称号における変化について質問が多く
出た。社会教育主事の配置は、都道府県及び市町村単位の必置になっているにも関わら
ず、実際の配置率はまだ低い課題は、日本と韓国の社会教育専門職における共通課題であ
り、特に2020年以降導入された社会教育士の役割における課題は、韓国参加者にとって
は興味深い内容であり、多くの質問が寄せられた。
 第3セッションの最後の報告は、趙淳玉氏による「韓国における生涯教育従事者の育
成、職業ルートと課題」に関する内容であった。韓国の平生教育をリードしていく中心的
な役割として、平生教育士が1級から3級までの体系の中で養成され、韓国の社会教育法
改正の歴史とともにその専門職の存在感も増してきた。特に、近年の動向として、平生教
育士の1級の昇給課程においてデジタル力量を強化し、より現場に適した専門性を涵養す
るための科目が開発されている点は、韓国の社会教育専門職養成における進展だと思われ
る。しかし、これまで約16万人以上の平生教育士が養成できたにも関わらず、実際に平
生教育機関に配置されて働いている人は6千人程度であり、特に、民間機関よりも公的な
社会教育機関での配置ができていないことが課題としてあげられた。
 今回のフォーラムでは、同時通訳を行ったため、各報告者の報告時間と、報告後の質疑
応答及び議論の時間が十分に設けられた。特に第3セッションでは、社会教育の法制度及
び専門職の養成体系におけるテーマを中心として議論が行われ、社会教育専門職の配置及
びその養成課程における質改善は、今後東アジアの共通する課題として議論していく必要
性が今回のフォーラムを通してより明確になったと思われる。さらに、社会教育の公共性
における課題、例えば、個人的な興味関心に即した趣味・レクリエーション等の諸活動を
中心としてきた社会教育のプログラムを、より社会全体の共通テーマとして拡大していく
ことも、東アジアの社会教育プログラム開発における共通課題として議論された。
                                   (金亨善)
========================================================

12月22日午後 第四セッション:地域教育施設の訪問および会議のまとめ
  杭州市銭塘区白楊街道隣里社区居民委員会(以下、社区)の教育施設を見学
  会議のまとめ  会場:上記施設内
   末本誠(日本神戸大学名誉教授)
   崔一先(韓国慶熙大学教授)
   張德永(台湾師範大学教授)
   楊樹雨(中国教育発展戦略学会生涯学習専門委員会事務局長)
 報告:孫冬梅
 この社区は、近隣の製造工場で働く従業員とその家族が多く居住しており、工場が提供
する社宅として利用されている建物が多数存在している。一人部屋、二人部屋、家族部屋
が用意されており、特に若年層の居住者が目立つ特徴がある。
 区の教育施設は、地上3階建ての建物で、様々な機能が備わっている。1階には、ボラ
ンティアによるサービスを提供するフロント、QRコードを読み取って電子書籍を閲覧でき
る機械、幼児向けの閲覧スペース、住民同士が意見交換できる交流スペースなどが設置さ
れている。また、誰でも自由に利用できるキッチンや冷蔵庫も完備されている。2階に
は、お茶を飲んだり読書を楽しんだりできるカフェスペース、会議室、インターネット中
継設備を備えた部屋などが設けられている。3階には、事務室、カウンセリングルーム、
ジム、VR体験施設、防災訓練施設、文化活動室などが集約されている。施設内には食堂も
併設されており、特に高齢者向けのサービスとして、80歳以上の方には1割、90歳以上
の方には2割の食事費用が補助されている。
 施設見学後には、東アジア生涯教育研究杭州フォーラムの全体討議が行われた。日本か
らは末本誠先生が登壇し、中日韓台湾における生涯学習の共通点と相違点について言及し
た。特に、NPOを活用した学習社会の構築と、個人の学習権利保障の重要性の2点を課題
として提起した。韓国からは崔一先先生が中国語で挨拶を行い、自身の見解を述べられ
た。続いて、中国の楊樹雨先生が本フォーラムの歴史を振り返り、2010年の上海フォーラ
ムでの参加者たちの集合写真を紹介された。特に、今回の杭州フォーラムに参加されてい
る韓民先生、呉遵民先生、汪国新先生、そして日本の石井山先生、韓国の姜大仲先生、梁
炳賛先生は、上海フォーラムにも参加されており、当時の集合写真を目にすると、感慨深
げに目を潤ませながら記念撮影に臨んでいた。通訳・翻訳に携わられた方々も加わり、温
かい雰囲気の中で記念撮影が行われた。
 最後に、韓民先生から、本フォーラムが世代を超えて続くことの重要性と、そのバトン
を来年開催される韓国での集会に託す旨が述べられた。

2010年の写真のとおりに並ぶよう指示されている楊先生
========================================================

フォーラム初日夜の会議(次年度以降をめぐっての協議)のご報告

 石井山です。それぞれ早々に記録をおまとめいただき、ありがとうございます。
 そして、改めまして、皆様、この杭州フォーラム計画へのご加担、どうもありがとうご
ざいました。上田先生が参加できないというハプニングは残念ではありましたが、おそら
くは一生語り継がれるプライスレスのエピソードが生まれたと、ポジティブに受けたいと
思います。ともかくいまは、2010年から積み重ねてきた交流を今年も継続できたことを、
喜び合いたいと思います。そのことの意味や価値を確かめ合うことができたフォーラム・
ラストの楊先生の素晴らしいプレゼン! あらためて、このつながりのありがたさ、積み重
ねの確かさを、しっかりと心に刻めた時間でした。
 なお、本集会をめぐっては、地元杭州の汪国新先生に多大なご尽力をいただけたことで
実現できたことも、しっかりと心に刻んでおきたいと思います。同時通訳ブースや留学生
の皆さんの旅費等で、破格のご配慮をいただけたのは、汪先生のご尽力によるものと聞い
ております。また、日本の研究とはかなり親和度の高い地域研究を積み重ねておられるこ
とが、お話から感じとれました。是非とも今後に、汪先生の研究に学べることを期待した
いと思います。
 さて、初日の夜、次年度以降をどうしていくかをめぐっての会議があり、そこで話し合
われ、共有された内容の概要をご報告します。日本からは私と上野先生、韓国からはヤン
先生、チェ先生、中国からは、韓民さん、呉さん、楊先生、そして金さんや孫さんなど、
通訳者の皆さんに加わっていただいての協議を行いました。
 まず、韓民さんより、次年度は韓国で行うということの確認がありました。そのことが
韓国で了解され、時期はおおよそ11月あたりで調整を行う、ということが確認されまし
た。
 続いて、内容を持ち方をめぐって、ヤン先生より共同研究として進め成果物を出すこと
の提案がありました。そこに私から賛同の意を表明し、このかん日本側の科研を活用して
フォーラムが開催されてきた経緯があり、成果の発信が必要であることと、それを行う上
では、名護フォーラムで確認・共有された、小林先生の研究方法・研究視角を基礎に枠組
みを用意するのがよいのではないか、ということを提案しました。
 基本その意見が受けとめられながら、その後、さまざまに意見を出し合いました。結論
としては、①来年度末を目標に、それぞれの言語で共同研究を出版することを目標とす
る、②次年度のフォーラムは、そこに掲載される論考を検討することを主な内容とする、
③フォーラムのテーマは、ホスト(次年度の場合は韓国)が定めるのが原則であることの
確認。④出版計画を検討するチームとして、ヤン、チェ、韓民、石井山、李、上田、とい
うメンバーで年始にオンラインで話し合いを持ち、本の章立てを検討する、つということ
を確認しました。
 翌朝、ヤン先生と、朝食をとりながら、このことをめぐってもう少し話し合いしまし
た。ヤン先生からは、これは石井山科研の一環として取り組むものであるという位置付け
を明確にして進めた方がよいのではないか、との提案をいただきました。そして、次回
フォーラムのテーマ設定者は韓国ではあるけれども、名護フォーラムの内容を基盤に本
書の企画があるなら、石井山の方からまず本の枠組みについて提案がなされ、それを叩き
台に協議をすすめ、その延長にテーマも定めたい、との趣旨のご意見も合わせていただい
たところです。
 加えて、この杭州フォーラムでは、まとめの協議で、末本先生などから、今後の研究協
議に向けての視点をいくつかいただきました。こうした、この杭州でえた視点も踏まえ、
まず年明け、小林先生にも相談をしながら、そして、④で触れた検討チームで話し合いな
がら、出版計画を本格的に指導させていきたいと考えております。
 みなさまには、今後のフォーラムの継続に加え、こうした新たな協働計画にもご加担い
ただきたく、引き続きのお付き合いを、どうぞよろしくお願いいたします。

23日 上海生涯教育研究院にて、石井山竜平さん(左)に李家成院長より海外研究証書が授与される。

 2024年中日韓生涯教育シンポジウム、私のまとめには3つの感想がある
                          中国メディア大学楊樹雨教授

11 中日韓生涯教育シンポジウムはすでに三カ国が交互に開催する健全な発展メカニズムを形成している。
   〔中国語による調印文書〕
   〔全員写真〕
  2016年に中国・上海で開催
  2017年に日本の佐賀で開催
  2018年に韓国世宗で開催
  2019年に中国・北京で開催  2019年の写真あり
  2020年から2022年にかけて、コロナ禍の影響を受け、オンラインセミナーを開催
  2023年に日本の沖縄で開催
  2024年に中国杭州で開催

 2 老中青3世代で構成される安定した中核チームを形成
( (1)チームメンバーには、退職した専門家や各国の学術権威、現職の中堅研究者、そして若手の博士留学生が含まれる。
  (2)長年にわたり、交流を重ねてきた留学生の一部が、私たちの交流における重要な架け橋となっている。例えば、新保 敦子さん、韓民さん、呉遵民さん、楊碧雲さん、李正連さん、王国輝さん、上田孝典さん、馬麗華さん、孫冬梅さん、張金寧さん、祁暁航さん、王昭さんなどが挙げられる。

 3 交流の成果が徐々に現れ、未来の発展はますます明るくなる見通しである。
( 1) 交流の内容は徐々に深化し、テーマ討論もさらに細分化された。最初は各専門家がそれぞれの状況を簡単に紹介する段階から、現在では共に関心のある課題を議論するまでに発展し、全体の認識レベルが大幅に向上した。
(2) 私は2017年からこのメカニズムのシンポジウムに参加し始めた。ご出席のベテラン専門家の皆様から多くの貴重な経験と知識を学ぶことができた。このメカニズムに心より感謝申し上げる。それによって、「生涯学習、幸福な人生を実現する」という私の座右の銘をさらに実践する機会を得ることができた。
(3) 今回の2024年「中日韓生涯教育シンポジウムは、美しい杭州で開催された。中国には「天には天国、地には蘇州と杭州」ということわざがあり、この「杭」は杭州を指している。今回のシンポジウムは大きな成果を上げました。私たち自身の努力と成果を祝福しよう!

 また、杭州の銭塘区教育局および汪国新副理事長が本会の開催に尽力してくださったことに心より感謝申し上げます!講演を担当された専門家の皆様には、精力的な準備と素晴らしいご講演をいただき、誠にありがとうございました!若手の通訳者の皆様のご尽力にも感謝いたします!そして、参加者の皆様の積極的なご参加にも深く感謝申し上げます!
 私は、中日韓三国の生涯教育関連組織の指導のもと、そして老中青三世代の学者たちの共同の努力によって、「中日韓生涯教育フォーラム」がますます発展していくと信じています。
 ありがとうございました。

2025年

「東アジア生涯学習研究フォーラム(「中日韓生涯教育シンポジウム」)報告会 『TOAFAEC通信』第103号  
……山口真理子(事務局)   
 2024年度も「東アジア生涯学習研究フォーラム」が、昨年12月21・22日に中国
杭州市で「中日韓生涯教育シンポジウム」として開催されました。中国、日本、韓
国、 台湾から研究者が集い、報告、討議がされました。
 日本からは第1セッション「生涯教育研究の新たな進展」に石井山竜平さん『日
本の生涯学習政策のこれまでとこれから』、第2セッション「生涯教育施設の変化と
直面する課題」に内田光俊さん『ESDを柱とした岡山市の公民館活動の到達と課
題』、第3セッション「生涯教育従事者の発展状況と動向」に上田孝典さん『日本
の社会教育主事制度改革~汎用性と専門性をめぐって~』、第4セッション「会議
のまとめ」に末本誠さんが発表者として登壇、第2セッションでは新保敦子さんが
司会をされました(『TOAFAEC通信』第102号参照)。
 1月の定例研究会では、実際にフォーラムに参加された皆様から報告や感想、各地
の新しい動きや視点、課題などをお話いただきます。
 オンライン併用しますので、遠方の方を含め、多くのご参加をお待ちしています。
               記    
◆日時:2025年1月31日(金)18:30~20:50頃(オンライン併用)
内容:「東アジア生涯学習研究フォーラム(「中日韓生涯教育シンポジウム」)報告
発表・話題提供:石井山竜平(東北大学)、上野景三(西九州大学)、山口真理子
(TOAFAEC)、参加者の皆さん
場所:東京都杉並区高井戸地域区民センター・第3集会室
(〒168-0072杉並区高井戸東3-7-5)京王井の頭線「高井戸」駅下車、徒歩3分)
※)オンライン希望の場合は前日・30日(木)までに山口へご連絡ください。
修了後、イーストビレッジで懇親会  https://www.hotpepper.jp/strJ000962873/   
連絡先:山口  IZK07252@nifty.com  090-1548-9595

 1月定例(第321回)研究会ご案内(再)      『TOAFAEC通信』第105号
 
 ―「東アジア生涯学習研究フォーラム(「中日韓生涯教育シンポジウム」)報告会
  ……石井山竜平(東北大学) 2025.1.29 20:20  
 明後日は定例研究会です。
 昨年12月21・22日に中国杭州市で開催された「中日韓生涯教育シンポジウム」の
報告会です。『TOAFAEC通信』第102号に、参加者が分担して記録を執筆をしており
ますが、当日はそのメンバーができる限り集い、補足説明や感想、各地の新しい動き
や視点、課題などをお話いただきます。
 また、本フォーラムでは、この間の研究協議の蓄積を踏まえて、国を越えて共同で
本を発刊しようということでまとまりました。その内容をどうするかをめぐっても協
議ができればと思います。
 オンライン併用しますので、遠方の方を含め、多くのご参加をお待ちしています。
 
 
1月定例(第321回)TOAFAEC研究会記録
 
 ……孫 冬梅(東北大学大学院)February 4, 2025 11:45 AM 
 日時: 2025年1月31日(金)18:30~20:50
 会場: 杉並区高円寺地域区民センター・第3集会室(対面)およびオンライン併用
 参加者:対面)小林文人、上野景三、江頭晃子、山口真理子
  オンライン)(五十音順)石井山竜平、内田光俊、祁曉航、新保敦子、孫冬梅
        齋藤真哉、瀬川理恵、中村津希子、包聯群
議事概要
 2025年1月定例会(第321回)TOAFAEC研究会が開催され、生涯学習に関する各
種フォーラムの報告と活発な議論が行われました。
1. 杭州フォーラム報告
(1)基調講演報告(祁曉航氏)
 「国際社会における生涯学習の発展動向」と題し、ユネスコでの政策展開やSDGs
(持続可能な開発目標)に関連する生涯学習の重要性について報告がありました。特
に、伝統的な教育モデルから自己主導型学習への移行、さらにAI技術と共存する新し
い学習パラダイムへの転換の必要性が強調されました。また、学習者の主体性を支援
するために不可欠なメタ認知的スキルの重要性にも言及されました。
(2)各国の生涯学習政策報告(上野景三氏)
 日中韓台4か国の生涯学習政策に関する報告が行われました。
 日本: 過去30年間の政策の変遷、特に臨教審以降の展開とその社会的影響について
   分析。
 韓国: 「学習管理装置」という新概念を紹介し、学習環境の変化に伴う自己管理能
   力の重要性を強調。
 中国・台湾: 学習都市の形成、高齢者教育の充実、地域社会との連携強化に関する
   取り組みが報告されました。
(3)生涯教育推進体制と実践(新保敦子氏)
 各国の生涯教育推進体制および実践事例についての発表がありました。
 韓国: 生涯教育法改正の動向
 日本: 公民館活動の現状と課題
 台湾: 地域教育施設の発展
 中国: 社会教育施設の実態と課題
 特に、少子高齢化への対応、都市と農村間の教育資源の不均衡、地域社会における
学習機会の格差が主要な課題として指摘されました。
(4)生涯教育従事者の育成と課題(内田光俊氏)
  生涯教育従事者の育成と課題について、中国、日本、韓国の事例が報告されまし
 た。
  中国: 専門能力ガイドラインの策定と職員の専門性向上への取り組みが紹介され
    ました。
  日本: 社会教育士制度の現状と課題、キャリア形成および専門職としての認知度
    向上が課題として指摘されました。
  韓国: 生涯教育士の育成体制および配置状況、体系的な研修プログラムと資格制
    度の強化が進められていることが共有されました。
(5)施設見学および全体討議の内容(孫冬梅)
  施設見学: 地域社会に根ざした学習施設の運営状況、若年層および高齢者向けの
      学習プログラム事例が紹介されました。
  全体討議: 各国の生涯学習に対する熱意、制度の違い、日本の国際的な動向への
      積極的な参加の重要性について意見交換が行われました。また、地域社
      会と連携した生涯学習の推進に向けた課題と展望について活発な議論が
      展開されました。
(6)杭州フォーラム初日夜の会議報告(石井山竜平氏)
  フォーラム初日夜に開催された次年度以降の計画に関する会議内容について報告
 されました。フォーラム開催に尽力した関係者への謝意、特に汪国新氏の支援
 (通訳ブースや留学生旅費等)への深い感謝が表明されました。
  次年度フォーラム: 韓国で11月頃に開催予定、テーマはホスト国である韓国が設
      定。
  共同研究および出版計画: 来年度末を目標に各国言語での共同研究成果の出版を
      決定。次年度フォーラムでは論考の検討を主要議題としました。
  出版計画の推進: ヤン、チェ、韓民、石井山、李、上田の各氏で構成される検討
      チームが年始にオンライン会議を開催し、章立てを協議する予定です。
  また、翌朝のヤン氏との意見交換では、本プロジェクトを石井山科研の一環とし
 て位置付ける提案があり、本書の枠組み案を基にフォーラムのテーマも決定する方
 針が確認されました。
2 総括的な議論
 小林文人氏よりフォーラムの目標は、各国における生涯学習の実態を把握すること
にあり、現場での具体的課題を政策に反映するためには、実態に基づいた継続的な分
析と評価が不可欠であることを強調しました。この取り組みにより、生涯学習の質向
上と地域社会への貢献がさらに促進されることが期待されます。
 今回の定例会は、生涯学習に関する国際的な動向や課題、各国の取り組みの違い
ついて理解を深める貴重な機会となりました。今後の生涯学習の発展に向けた具体
的な課題と方策が明確化され、各国間の協働による新たな展開が期待されます。

 




      TOPへ